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蔵王おろし 白川ゆうき作品集

蔵王おろし 白川ゆうき作品集・書影
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白川ゆうき 著
四六判・上製・カバー装
定価:1800円+税 ISBN978-4-905849-90-2

骨太なストーリー・情感溢れる人間像──
本格派純文学の復権!

第65回文学界新人賞佳作 受賞作品 他・全5篇

蔵王山麓に育つ少年の成長を瑞々しく情感溢れる筆で綴る、文学界新人賞佳作「蔵王おろし」。中年女性の孤独と愛を乾いた筆致で描いた「野外劇場」。駅を舞台として繰り広げられる五つの物語をスケッチする「プラットフォーム物語──五つの短編」。都会に蠢く男と女の、愛を求めて足掻く悲劇を冷静に描写した「すてきな家族」。女の業を捨てられず、芸者と人の親という二つの自分の間で揺らぐ母を見つめる少女の静かな目、そしてそこから描かれる様々な人間の姿が鮮烈な印象を残す「子の域」──驚くべき完成度で描かれた、珠玉の処女作品集!

推薦の辞:
白川ゆうきの小説は、一行目から心が震え出す。言葉に対する絶対的な姿勢に感動するからだ。──江上剛(作家)

「白川ゆうきの独創は、不器用な愛にのたうつ人たちに一種の崇高さを添えたことだ。」
──橋昌男(作家)

 圭一はスコップが重く、まだ思うように消し粉をかけられない。いつ怒られるかとびくついていたが、源造は黙々と作業を続けるばかりであった。圭一は、めっきり口数の少なくなった源造をみて、こんなとき綾乃がいるといいのにと思った。しかしすぐ、もう綾乃は山にこないかもしれないと思いなおし、暗い気持になった。綾乃は、とうちゃんには内緒だよといって、夜も食堂に勤めていたのだった。
「ほうれ、いい音だ。鋼鉄並みの堅炭よ」
 すっかり冷めていない炭をぶっつけあわせて、源造は汗で黒く光った顔をしわくちゃにした。澄んだ音が木立のあいだを渡った。(「蔵王おろし」)

目次

蔵王おろし
野外劇場
プラットフォーム物語──五つの短編
  一、うなじ
  二、舞 台
  三、白馬行き
  四、丘
  五、叫び

すてきな家族
子の域

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