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図書館の統計 (日本近代図書館学叢書第5巻)

図書館の統計・書影
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著者:小畑渉
ISBN978-4-86330-178-8 C0300
定価:本体6000円+税 264頁
A5判・上製クロス装・函入 2017年9月10日刊

戦後の図書館司書講習制度の確立に貢献した小畑渉による、図書館統計法入門!

何のために、何のデータをどう集めるのか。そのデータをどう生かすのかという図書館統計の基本を詳述!
自分たちのためだけの統計ではなく、他者にも利用してもらうためのデータの取り方も紹介。
図書館の存在意義と重要性を科学的・客観的データを以って証明し、正当な「予算をとる」ために、そして「その経費はいかなる方面にいかほど使用することが妥当であるかなどの目安を決める」ために、著者が「日本図書館研究会監修のもとに図書館統計のあらゆる分野について記述」したという名著。

日本近代図書館学叢書以後続刊予定!

著者略歴

小畑渉(おばた・わたる, 1908―1958)
図書館学者、図書館司書。京都府生まれ。京都師範学校二部(現・京都教育大学)を卒業し、京都市七条小学校に勤務。1939年から同志社大学図書館に勤務。「書物研究会」及び「同志社大学図書館学研究会」の有力メンバーとなる。戦後は同志社大学図書館学講習所の講師として、図書館司書講習制度の確立に貢献した。日本図書館研究会評議員、私立大学図書館協会関西役員、京都図書館協会監事、高知大学および徳島大学司書講習講師を歴任。統計学を得意とし、日本の図書館における本格的な統計学の応用に大きな役割を果たした。

目次

序 文
第1章 図書館統計の概観
T 図書館統計の目的
U 図書館統計の要件
V 図書館統計の体系
第2章 財産と財政に関する統計
T 財産統計の意義と範囲
U 財政統計の意義と範囲
第3章 組織に関する統計
T 組織に関する統計の意義
U 人的組織
V 事務組織
W 分類組織
X 目録組織
第4章 資料に関する統計
T 図書館資料の種類
U 蔵書統計の意義
V 図書類の点計
W 逐次刊行物の点計
X 特殊資料の点計
Y 視聴覚資料とマイクロ資料の点計
Z 図書館資料統計表の種類
[ 図書館資料統計表の様式
\ 図書館資料統計規則案
第5章 利用に関する統計
T 利用統計の意義
U 利用者の統計
V 利用者統計表様式
W 利用度の統計
X 利用度統計表様式
Y 利用統計規則案
第6章 経営に関する統計
T 経営統計の意義
U 能率に関係のある統計
V 利用に関係のある統計
W 運営に関係のある統計
索 引

本書より抜粋

社会科学においても、自然科学においても、統計的なものの考え方は、それらの学問の奥底に横たわる本質を理解する上に、また社会現象や自然現象を把握する上に最もよい手段を与えてくれる。このような意味から図書館の近代的な科学的経営の為には、統計的な思考と統計的な訓練とが是非とも必要である。(序文より)

数学は我々の思想を発表する一つの学問である。この言葉の語学を学んで、数字の物語る言葉を読みこなすことが統計解釈の本来の姿である。この意味で図書館活動を端的に表現する所の、利用に関する統計数字の物語る意味を素直に受け容れて、その数字の示唆に随って図書館の経営なり運営の改善に努力しなければならない。(第5章 利用に関する統計)

どんなに優秀な図書館員がいても、またどんなに立派に図書館建築や設備が充実していても、経費が潤沢でなければ図書館の経営は充分になされるものではない。図書館の経費の多寡は実に図書館経営の死活を握るものである。これは独り学校図書館だけの問題ではなく、公共図書館や公民館や大学図書館共通の問題である。しかも財政的に緊迫が訪れると、第一に槍玉にあげられるのは、いつも、最も不生産的だと思われている図書館である。(第2章 財産と財政に関する統計)

出来る限り経費を節約して図書館を経営することは、経費の潤沢でない現在の図書館界にとっては、否応なしにたどらねばならない運命の道である。しかし要るだけの用品は要るのであって、いかなる方面にいかなる程度の経費を要するかは、絶えず数字の面から科学的に調査する必要がある。科学的な調査資料をもたずに経費を要求しても、予算をとることは出来ない。(第6章 経営に関する統計)

それでは図書館の活動が利用の状況を通じてどのように進展しつつあるかを知るには、どうすればよいか。「近頃図書館の閲覧者が大変多くなって来た」とか、「館外貸出も以前と較べて随分増えた様だ」などと、利用状況は言葉で云い表すことも出来よう。またこのような文句で図書館報や図書館ニュースなどに文章として書き表すことも出来よう。しかしこれらの言葉や文字による表現の方法は、ある程度まで利用の状況を語り得ても、利用のあらゆる状態を適確に表現することは困難である。図書館活動のあらゆる活動状態を完結した描写で適確に表現するには、統計的な数字を応用することが一番手近な方法である。(第5章 利用に関する統計)

「日本近代図書館学叢書」の刊行にあたって

インターネットの普及によって情報の発信・入手が容易になり、ネットワーク化が加速度的に進んでゆく現代。このような時代の中、図書館はどこへ向かえばいいのか。知の集積かつ共有の場としての図書館の専門性とは何か。
日本図書館協会が「日本文庫協会」として設立されてから一二五年、『図書館雑誌』の創刊から一一〇年である二〇一七年を迎えるにあたって、日本の近代図書館の創成期や発展期を担った先人たちの名著を繙くことは、図書館の「いま」と「これから」を見据えるために必須の作業であることは疑いを容れない。
本叢書がこれからの図書館の発展に寄与することを願ってやまない。
(「日本近代図書館学叢書」刊行委員会)
 「日本近代図書館学叢書」のパンフレットはこちら→PDF(969KB)

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