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トップページ >> 既刊・新刊 >> 近代チベット史叢書 1 >> 西蔵問題―青木文教外交調書

西蔵チベット問題―青木文教外交調書  近代チベット史叢書 1

西蔵問題
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青木文教・著 外務省調査局/慧文社史料室・編
A5判・上製クロス装・函入 2009年2月刊
定価:7000円+税 ISBN978-4-86330-024-8

第二次大戦下、チベットへの支援を訴えた外交官がいた! 未公開の外務省史料、本邦初の書籍化!

鎖国下のチベットに仏教学者として5年間の調査滞在を果たした、日本のチベット研究先駆者・青木文教。第二次大戦中、外務省嘱託として対チベット外交に携わった青木が記述した『極秘』の外務省調書を初公開! 古代吐蕃王国以来のチベット外交史を分かりやすく詳述するとともに、チベット政府代表団の秘密裡訪日、戦時下の対チベット戦略案など、知られざる歴史的秘話も明らかになる! 「 西蔵(チベット)問題」の原点を詳述した、まさに第一級史料!

〔1943年外務省調査局編の調書『西蔵問題』に加え、
1941,42年執筆の外務省記録2篇(外務省外交史料館所蔵)を収載〕
★読みやすい新字・現代かな改訂版に加え、学術文献として有用な原史料翻刻を付す!

本書初公開の秘話★
*大戦下の1942年6月、在北京チベット政府代表が訪日
表面的には宗教使節として、外務省の依頼を受けた真言宗が接待する一方、秘密裡に外務省、参謀本部、文部省、興亜院などの高官と会談する。
*日本軍の空路ラサ進駐作戦案
*旧「満洲国」興安局の『ラマ教整備要綱』

◎産経新聞、読売新聞、中外日報に紹介記事掲載されました!

「近代チベット史叢書」推薦文  小峰彌彦大正大学学長・仏教学博士)

 2009年は、1959年のチベット民族蜂起より50年の年にあたる。昨年の北京オリンピックの折りにも解放問題をめぐり、世界各地で解放を望む運動が顕在化したことは記憶に新しい。とはいえこの問題も、決定的な武力紛争までいたらなかったこと、さらには中国への配慮なども影響し、日本においての関心はそれほど高くなるには至らなかったのが現況である。だが、チベット問題は、当該の民族のみのことではなく、国際的にも重要な課題であることは間違いない。それ故、私たちはこの課題に真剣に向き合う必要があるが、そのためにはチベットに対する基礎的な知識を備えた上の正しい認識が不可欠となるのである。
 本叢書は「20世紀初頭から第二次世界大戦に至るチベットの歴史と民族文化」を学ぶ基礎的な資料としても重要であるし、チベット問題の原点を考察する上で貴重な材料を提供している良書である。青木文教氏をはじめとする著者の体験を通しての報告は、読者に多くの知識と示唆を与えるものと確信するものである。

著者略歴

青木文教(あおき・ぶんきょう)
チベット研究者、僧侶。滋賀県安曇川町生まれ。仏教大学(現・龍谷大学)大学院在学中に大谷光瑞の秘書となり、仏教遺跡の研究に従事。大正元年(1912)より5年間チベットの首府ラサに滞在し、ダライ・ラマ13世と親交を持つ。1941年から終戦まで外務省調査部嘱託職員としてチベット問題研究に従事。戦後は東京大学講師などを務め、チベット語を教える。(1886-1956)

目次

チベット問題 ―昭和18年1月 調第245号
支蔵関係の史的考察
第一章 チベットとその関係諸国
 一、チベットの地位
 二、支那とチベット
 三、チベットとインド
 四、モンゴルとチベット
 五、帝政ロシアとチベット
 六、チベットと国民政府並びに英国及びソ連
第二章 支那のチベットに対する呼称法
 一、古代のチベット国名
 二、近世のチベット国名
 三、「西蔵」という名称
 四、チベット固有の国名
第三章 隋代における支蔵関係
 一、隋書「附国伝」の所録
第四章 唐代における支蔵関係
 一、太宗帝とチベット王「ソンツェン・ガムポ」
 二、支蔵の同盟「唐蕃会盟」
 三、唐蔵関係の特異相
第五章 宋代における支蔵関係
 一、支蔵国力の衰退
 二、宋蔵関係の疎隔
第六章 元代における支蔵関係
 一、チンギス・ハーンのチベット征服
 二、グンタン王のチベット対策
 三、フビライ(世祖)のラマ教政策
 四、元朝とラマ教偏重主義の余弊
第七章 明代における支蔵関係
 一、成宗帝のラマ教政策
 二、ラマ教の大改革
 三、ラマ教の新教教主と成祖帝
 四、ラマ法王統の出現
 五、「ダライ」という呼称の起源
 六、モンゴルに因縁深きダライ四世
 七、明末におけるダライ五世とモンゴル王
第八章 清代における支蔵関係
 一、満洲王室とチベット人の信念
 二、ダライ五世と世祖帝
 三、康煕帝のラマ教政策
 四、ダライ五世の執権の事績
 五、チベットはついに支那の領土となる
 六、雍正帝の対蔵政策
 七、乾隆帝のチベット封鎖政策
 八、英国のチベット工作の漸進
 九、支那の対蔵政策の不徹底と英蔵戦争
 一〇、帝政ロシアのチベット工作と英支
 一一、清末における対蔵政策の失敗
 一二、英蔵事変と日露戦役の関係
 一三、英露と蔵蒙の地位
 一四、清末の支蔵事変と英支の関係
第九章 民国時代における支蔵関係
 一、中華民国の成立とチベットの独立
 二、支蔵英三国のシムラ会議
 三、チベットは旧領土の回復に努力す
 四、支那の主権回復にパンチェンラマを利用
 五、ダライ十三世の急逝とその死因問題
 六、チベットの政情不安と支那の焦慮
 七、パンチェン九世帰蔵途中の変死問題
 八、ダライラマ十四世の出現と支那政府の期待
 九、対蔵政策に関する支那の反省
 一〇、支蔵関係の複雑化
第十章 大東亜の建設と支蔵関係
 一、支蔵問題と我が国との関係
 二、援蒋ルートとチベット
 三、インドの防備ないしビルマ奪回戦とチベット
 四、チベットの対日感情
 五、大東亜共栄圏とチベット
 
付記 参考条約文(必要条項抄録)
 シッキム・チベット条約
 印蔵条約付属章程
 大ブリテン国政府及びチベット政府間の条約
 大ブリテン国政府及び支那政府間の
  チベットに関する条約
 チベットに関する大英国及びロシア国間の条約、
  チベットに関する協定
付録一、チベット近時の内外情勢
 一、チベット研究調査の重要性
 二、チベット情報の蒐集法
 三、チベットにおける英国の勢力
 四、帝政ロシアのチベット工作
 五、近時のチベット情勢
 六、チベット問題とラマ教対策
付録二、ダライとパンチェンについて
 一、緒 言
 二、ダライの由来
 三、パンチェンの由来
 四、ダライとパンチェンの比較
 五、対蔵政策より見たるダライとパンチェン

チベット政府代表訪日の成果と
 チベット問題の調査に関する所見

   (チベット代表招致報告)
    ―昭和17年9月 調三資料第28号
一、訪日旅程と行動について
二、代表一行の観察事項
三、我が方のチベット再認識
 (イ)日蔵関係の沿革概要
 (ロ)チベット代表タンパ僧正の来歴
 (ハ)チベット事情の紹介
  (1)チベット国の現地位
  (2)我が国との地理的関係
  (3)ラマ教に対する認識
  (4)チベット政府の実体
  (5)チベット語の学修に関する示唆
  (6)チベット人の性質
  (7)チベット人の対日感情
四、チベット調査問題の検討
 (イ)研究調査の新分野について
  (1)外務省
  (2)参謀本部
  (3)文部省
  (4)興亜院
  (5)仏教団体
  (6)学術界
 (ロ)日蔵国交の開拓問題
 (ハ)日蔵提携の必要なる所以
五、対蔵調査の具体化
 (チベット対策調査要綱)

チベット問題とその対策
    ―昭和16年12月27日
一、チベット研究調査の重要性
二、チベット情報の蒐集法
三、チベットにおけるイギリスの勢力
四、帝政ロシアとチベット政策
五、近時のチベット情勢観測
六、チベット問題とラマ教の関係
七、我が国のチベット対策

付録 原史料翻刻
「西蔵問題」
 ―1943年・外務省調査局調書
「西蔵政府代表訪日ノ成果ト
 西蔵問題ノ調査ニ関スル所見(西蔵代表招致報告)」
 ―1942年・外務省調査部第三課記録【極秘】
「西蔵問題ト其対策」
 ―1941年・外務省調査部第三課記録【極秘】

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